成城国文学会
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学会便り

◆池田 一彦

 始めまして、とこう書いて、アレ違ったカナ?と思って国語辞典引いたら、やはり「初めまして」だった……頭の中に、あるいは口先に、何か言葉が浮かぶのが先で、表記上怪しいときは、一応字引を引いてみる。たまに、この言葉が絶対正しい、と思っても、『広辞苑』や『国語大辞典』(だったか?)に載っていないことがあり、その時は、自分の感性を信じてそのまま押し通すこともある。本を買い集めるのが昔から大好きで、特に絶版文庫を探し求めてよく歩いた学生時代でした。今は、明治初年の文学書を蒐集しています。レトロ、と言うか何事につけ懐古趣味で。近代と言えば明治から昭和戦後間もなくの期間を指すかと思いますが、仮名垣魯文から坂口安吾まで、味のある文章の書き手に敬意を表し、「名文」の何たるかを自分なりに追求して行きたいと思っています。

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◆上野 英二

 ゼミナール「伊勢物語および伊勢物語注釈史の再検討」も、牛歩のごとき遅々たる歩みながら、一〇七段まで読みすすめることができました(平成十五年度)。全一二五段通読も夢ではなくなりました。思い返せば、作品の理解も私なりに深まりましたが、発表や発言のあれこれが、卒業生の個性とともに懐しく思い出されます。元気でやってますか?

  このところ、お茶を飲みながら気楽に古典を楽しむ、「古典に親しむ会」という会を学生とやっています。何をいつやるとも知れぬ気まぐれな会ですが、気まぐれな参加を歓迎しますので、上野までご一報下さい。御案内致します。

  十六年四月より柄にもなく、学生部長に就任。忙殺されています。同窓生の音信が何よりの慰めです。激励に顔を見せて下さい。

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◆工藤 力男

 生来の移り気が研究にも現われているのかも知れない。卒業論文は、格助詞「が」が接続助詞に転ずる過程を考えるものであった。

  萬葉集の表記を論ずる修士論文を書いて以来、萬葉集を中心として古代語を論ずることが多く、五年前に第一論文集『日本語史の諸相 工藤力男論考選』(汲古書院)にまとめた。研究は『校本萬葉集新増補版』、さらに定家本萬葉集を収めるその第三次増補修訂版の編纂につながった。

 十二年従事した新日本古典文学大系『萬葉集』がこの三月に完結した。そのめどがついた昨春から、和名類聚抄の地名を考えることに戻った。それを『成城文藝』に連載して、いま第三回分を書いている。

 移り気は対象が古代語に限ることを許さない。現代語への批判の言を発すべく始めた連載エッセイ「言語時評」も、右の連載と雁行しつつ三回に達した。

 授業では学生の興味を考えて常に通時論と共時論の双方を講じているが、通時論の卒業論文を書く学生の少ないことが残念である。好きな言葉は「一期一会、いい仕事してますねえ、たしなむ」。嫌いなものは、軽薄、カラオケ、立ち上げる。

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◆小島 孝之

 初めまして。三月に東大を定年で退職し、四月から成城大学の一員に加えていただきました。専攻は中世文学ですが、何でもやってみないと気がすまない性質で、あれやこれやと手をつけて、何もまとまらない日々を送っています。目下のところは成城の生活が新鮮で、楽しく授業をやっています。おかげで、これまでの精神的疲労を癒されています。

   六月に東大での教え子の人たちが中心になって、私の編で『説話の界域』(笠間書院)という論文集を出します。また同じく六月に、私の手持ちの古筆切や板本を使って、『くずし字練習帳』(新典社)という冊子をだします。今はそれらの校正の追い込みがやっと一段落したところで、次はやりかけになっている『宇治拾遺物語』の文庫版の現代語訳と注釈の作成を再開する予定です。新書の『徒然草』も原稿を書きかけで中断していますし、相変わらず、手を広げすぎの気味で、どうなることやら。

 というわけで、説話・随筆などの中世の散文文学が専攻のメインということになります。 これから、どうぞよろしく。
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◆小林 真由美

 卒論以来、「古代文学と仏教」というテーマで研究を続けています。近年は主に、仏教説話集『日本霊異記』についての研究をしています。数年前から成城大学民俗学研究所の日本霊異記研究会に参加していましたが、共同研究の成果として1月に論文集『日本霊異記を読む』(小峰和明・篠川賢編、吉川弘文館)を発表しました。

 国文学科の教員に就任してから、早くも十年余りが経ちました。卒業後も国文学に関係のある職業につく方が少ないのは残念ですが、卒業生の皆さんが、さまざまな分野で活躍をしていることを嬉しく思います。たまに大学に顔を出して、近況をお聞かせ下さい。

 ゼミの卒業生の方は、ゼミのHPがありますので、そちらもぜひのぞいてください。大学の教員紹介(小林)から行けます。

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◆杤尾 武

 私の研究は、類書の研究と和漢比較文学の研究に二大別できる。それに『山海経』の研究が加わる。

 類書とは、中国の歴代の文献を分類して集大成したものである。また、和漢比較文学とは、中国古典文学が日本文学に直接如何に影響を与え、如何に文学を形成したかを研究するものである。『和漢朗詠集』、(源氏物語)『河海抄』、『李■百二十詠』等を研究対象にしている。(注 ■=キョウ、山篇に喬)

・『古今図書集成引用書目録稿』上中下(汲古書院 一九七二〜一九七七)

・「類書の研究序説」(『成城國文學論集』十輯〜十二輯 一九七八〜一九八〇)

・『玉造小町壮衰書の研究』上下(臨川書店 一九九一)

・「京大本紫明抄・天理本河海抄引用漢籍注考証稿」(『成城國文學論集』二十二輯・二十三輯・二十五輯・二十六輯 一九九四〜一九九九)

・「李■百廿詠注解二 坤儀十首」(『成城文藝』一五三号 一九九六)
(注 ■=キョウ、山篇に喬)

・「漱石山房の原稿用紙のゆりかごー双龍戯珠文様ー」(『国文学研究資料館紀要』)二十六号 二〇〇〇)

・「成城大学図書館蔵『怪奇鳥獣図巻』における鳥獣人物画の研究稿」(『成城国文学論集』二十八輯 二〇〇二)

・「明・■応鎬画『山海経』ー明刊本と和刻本」(『成城国文学論集』二十九輯 二〇〇四)(注 ■=ショウ、草冠に將)

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◆宮崎 修多

 あいかわらず、うろうろと低徊する毎日です。

 ゼミでは『和荘兵衛』という江戸中期の談義本をよみつつ、例によって私の教訓談義も、ゼミ生たちに聴かせてます。もっともそれは鵜呑みにする彼らではありませんが。ちなみに今夏のゼミ旅行では、長良川で鵜飼いを見ました。
 一年生の基礎演習では、今年から趣向を変えて、四教員そろって素読をやっています。すなわち大きな声で朗読、何度も何度もよむ。そして部分的に暗誦するのみ、という授業です。これがしかしなかなかいい。意外に一年生の声は出ていますよ。

 研究はといえば、明治の漢文学を中心にしながら、時に元禄、時に寛政と、これまた腰のすわらぬやりかた。あちこち、点々と、つまみ食いのような研究生活。いそがしいときは、研究室に泊まることも多し。真夜中、静かな宵、遊びに来てください。

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